ギブソン レスポール・ネック折れ修理_その1
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現状の観察。

==   ヘッド側   ==

レスポールのヘッド面には薄いメイプルがヘッドプレートとして貼られています。これも完全に折れて(折られて)いる状況。前回の修理の際にはヘッドプレートをはがして補強をいれた?ということたが補強は確認できず、ヘッドプレートも剥がされることはなかったと思われる。

※画像右上部の切断面に色が変わっているところが確認できるが、ここの破損が醜くネック側と旨く合わない状態。色が変わっているのはおそらく何か充填材のようなものを入れた可能性がある。(これが補強??)
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==   グリップ側   ==

折れた断面を観察してみるといくつか問題点が。

ヘッド裏の塗装面にみられる「荒れ」は不安定な状態でくっついていた接着を取る際に加えた熱によるもの。
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==   断面アップ   ==

断面に白いウロコ状に付着しているものが判ります。

前回のリペアの際の接着剤の残骸なのですが、これが切断面全体に渡り膜を残しています。前回の修理の際にはおそらくエポキシ接着剤が使われたようです。
このような修理にエポキシを使うことは否定はしませんが、今回のようなケースの場合には非常に邪魔な物となります。

ニカワや楽器製作に使われるグルーであればこれほど接着跡が残ることもなく再接着も容易なのですが、このエポキシ膜は完全に取り除くことは不可能です。

出来るだけ取り除くことを試みましたが、木片が一緒に着いてきてしまうこともあり(断面の形が変わってしまう)、完全に木地を出すことが出来ません。
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仕方なくそのまま接着を行いましたが、エポキシ膜が残っていることもあり充分な接着強度が確保できたかは疑問です。

今後の処理は。

1、当初の予定通り塗装のみ行う。(再度、自然に折れることは充分考えられます。)

2、補強を入れる。(補強をいれれば折れないと言うわけではないが、補強の入れ方によれば充分な強度が回復できる。見た目には目立たないように補強しますが、補強を入れた跡は残るでしょう。)

3、ヘッドを作り替える。ヘッドの付け根あたりからカットして新しいヘッドを接着する。(上手く折れた部分を回避できれば強度は出るが、見た目には接着跡は残る。工賃も高額になる)

4、ネックまるごと製作・交換。(更に高額になる。)
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顧客の希望は。

・折れた状態で置いておくのは心苦しいから持ち込んだ。

・出来れば弾ける状態に戻したい。

・最悪、強度が出ないようなら飾れる状態にはしたい。

・ネックを作り替えるような金額は掛けられない。

相談の結果。接着具合を確認しながら補強を入れる方向で進めることに決定。
                
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